星織ユメミライ 感想
tone work's(2014) の作品。同社作品は初プレイ。長い長いと聞いていたので中々手を出せなかったが、中古ショップに寄ったときに安く売っていたのでいい機会だと思いプレイしてみることに。
個人的な意見としては1√が通常のエロゲの倍くらいあるので面白い√と面白くない√の差がより浮彫になった感があった。
以下ネタバレ
攻略順は面白いと評判の律佳と、自分のプレイスタイルとして幼馴染はできるだけ後に回す主義なので真里花を後を回して残りはフィーリングで。
透子→夏希→そら→美砂→真里花→律佳
個人的総合おすすめ度:★★★★(オススメ)
律佳、真里花、透子√:★★★★★(是非やって欲しい)
夏希√:★★★★(オススメ)
そら、美砂√:★★★(普通)
良かったところ
- 真里花√
私が幼馴染を後回しにする理由としては、最初にやってしまうと後の√でも彼女の心情を引っ張ってしまうからであるが、真里花はそれが顕著で共通の最初から好き好きビームが出まくっているので中々大変だった。
その分彼女の√では充分に楽しませてもらった。お父さんがちょっとだけうざかったが、酔ったお父さんとの話や、病弱でかわいい娘を持ったらそらああなるわなとも感じ納得できた。
真里花√は結婚式の手紙に全てが詰まっていたと思う。正直他の部分は他ゲーの幼馴染と比べて特別な部分はなかったが、その手紙だけで全てひっくり返せるくらいには威力が高かった。お恥ずかしながら私も手紙の中盤からずっと泣きっぱなしだった。私は両親とあまり仲が良くないので(両親とも私に手をあげる人間だったため)、正直羨ましいなあと思う一面もあった。
- 律佳√
面白いと面白いと散々聞いていたので期待を持ってプレイしたが、ただのグランド√で超面白かった。この星織ユメミライってのは過去、現在、未来への「人とのつながり」を非常に重視しているゲームであるが、それが一番丁寧に描かれている√であったと思う。
まず律佳自身が超かわいい。最初はツンデレなのかなと思っていたがただのデレデレでした本当ありがとうございました。ずっと周囲に壁を作って一人だったのが主人公に出会って、仲間に出会って、「普通の女の子」になっていく様はみててこっちの顔も緩みっぱなしだった。あとめぐるちゃんも攻略させろ。
ピアノに限らず楽器は感性とよく聞くが、めぐるちゃんは素で持っていて、律佳は周りとの交わりで少しずつ花開いていっただけで、どっちもお母さんの才能はきちんと持っていたわけだ。やっぱこの世界遺伝ゲー()
進んでいくにつれて私の大好きなヒロインの「ワガママハイスペック」のアーシェに少し重なって不穏な空気がafter√にあったが、こっちはお互いに正直でスレていなかったので何事もなくて安心した。気持ちを伝えるって大事だよな。
そしてエンディング。最後の一枚絵のお母さんの隣で律佳が困った顔で弾いていて、その逆の隣でめぐるちゃんが笑顔で弾いている。次は律佳も笑顔になって。最後には律佳が真ん中になって、その両隣で二人の双子の子供が笑顔で弾いている。この移り変わりで不覚にも泣いてしまった。めっちゃ感動した。個人的な意見だけど双子のうちのどっちかがピアニストになってもう片方が主人公と同じ建築家になりそうな気がする。
- 透子√
私が総合的に一番面白かったと感じた√。なんとなくで最初にやって後悔している。転校生で、転勤族で、気まぐれで、高校生になってもじぶんのなりたい将来を見つけられない子。私と非常に共通点が多く、共感しっぱなしだった。ちょっとスレてるというか、達観している感じの子だったけど、お節介の主人公のせいで人との関わりを持つようになったり、自分の気持ちを両親に言えるようになったり、精神的にも律佳と並んで成長著しい√だったと思う。
自分の将来を決めるのはafterまでかかったけど、「主人公を支えることが私の夢」と決めて、せっかく内定していた就職先に内定辞退を出して、就職浪人してまでインテリアコーディネーターを目指す姿はめっちゃかっこよかった。そして主人公と同じ職場へ。こんな健気な子、現実にはいないんじゃね?
後エンディング曲のしあわせの場所が最強です。今度カラオケで絶対歌いたい。
就職先を主人公に最後まで内緒にしておくところとか、いたずら好きな性格もとてもよかった。前述の二人より感動は薄かったけど、話により感情移入できたという部分で私はこの√が星織ユメミライで一番好きである。
よくなかったところ
- 主人公
私が大嫌いな、「無能な働き者」タイプだった。病的にお節介なのである。ここまで他人に構おうとするのは「過去に何かあった」レベルなのだが、本編では「性分だから」の一言で済ましているのが気に食わない。こんなの現実にいたらストーカー一歩手前である。ヒロインたちが超優しくてよかったな。
そして、何か思いついた時に絶対誰にも言わないでごまかすのがまた最高にイラつかせる。そしてそれがうまく行かなかったときに勝手に自己嫌悪。終わってるやろこいつ。
うまく行くかわからないときは誰かに相談することくらい、小学生でも知ってるぞ。
いくらでも愚痴が出てくるのだけどまあこれくらいにしとく。私みたいに主人公に対して感情移入するタイプの人は気を付けたし。
- シナリオライターの知識や語彙不足
私が一番イラっとした場面なのだが、美砂√afterにて美砂が高校3年生から8年後に博士号をゲットしていた点である。博士号は、大学は4年で、そこから修士2年、博士3年を経てもらえるものであり、飛び級をしない限り最低9年かかるのである。そこに高校時代の1年を加え、美砂が博士号をゲットできるのは10年後なのだが8年でもらえていたのは不思議としか言いようがない。中途半端な知識で書くからこうなる。
次に語彙不足の点だが、主人公やヒロインが相手から何か言われた時の驚きの相槌が必ず「え…」なのである。これ以外はないのかと言いたいくらい不自然で気になった。何故私がこんなのが気になるというと、同じ理由で叩かれている「軌跡シリーズ」というゲームのシリーズが好きだからである。このゲームでも言われ始めたのが2013年の閃の軌跡で、2021年発売の黎の軌でも完全に治っておらず、根深い問題なのはわかるが気を付けてもらいたい。同じ言葉が繰り返されると会話全体が不自然に聞こえる。
- そら、美砂√
別に良くなかったってほどでもなく、普通に面白かったのだが、この二人は明確な将来の夢とかがすでに決まっており、√の中もあまり起伏がなく(特に美砂)、展開が読めてしまったので、特に特筆すべきものがなく個人的にただ読んでいるだけの印象に残らない√になってしまった。
特にそら√は評判も良く、一応センターヒロインだったので期待してたのが良くなかったかなと思う。
最初に言った通り普通に面白いのは間違いない。少なくとも飽きしまうことなんかは絶対ないと思う。
総合
色々愚痴も入ったが、エロゲの中では異例の、これだけ長い話をほぼ飽きさせずに読めたので良作には間違いないと思う。時間がない人はぜひ良かったところに書いた3人の√だけでもやってほしいなと思う。
後言い忘れていたがエロは全く期待しない方がいい、私は一回も出しませんでした。
愛を確かめる場面として割り切ってみた方がいい。
※実は次回作の銀色、遥かも購入してあるのでいずれプレイするつもりだ。こっちは札幌が舞台なので、雪国の人間としてこっちの方が楽しみだったりする。